ある日、4歳娘と電車に乗っていた時のこと。
空いていたので、娘と隣同士で座り、私はぼーっとしていた。
すると、娘がいきなり私の耳元に手を当てて、こしょこしょこしょ、、と何かを耳打ちしてきた。
しかし、小さな声は電車の音にかき消され、よくわからなかった。
何?もう一回言って?と私がいうと、娘はちょっと恥ずかしそうな顔をして、私の耳元でこう言った。
「ぱーくさいど、だって、」
え?と思って娘の目線を見ると、電車内に住宅の広告が載っていて、その名前が「パークサイド○○」というものだった。
私は笑ってしまった。
娘が恥ずかしそうに言った意味がわかったからだ。
私と娘と夫しか知らない秘密の言葉。それが「ぱーく」
パークって公園じゃないの?って思うだろう。
実は私は娘が生まれた時から、娘に授乳のことは「ぱーく」と教えてきたんだ。
産んだところの助産師さんが授乳のコツを教えてくれた時に、唇をトントンパーク!とやるといいと教えてくれてから。
おっぱいとか教えて、授乳の度に人前で言われるのが嫌だったし、だったら「ぱーく」でいいじゃんと思ったのだ。
ぱーくなら、他人に聞かれてもバレないし、気恥ずかしくもなかったので、娘が1歳半で卒乳するまでは、「ぱーく」で過ごしてきたのだ。
私はその日までしょっちゅう「ぱーく、ぱーく」言われてきたんだ。
だから、娘が耳にこしょこしょと空気を当てながら、恥ずかしそうに「ぱーくさいど、だって、」と言った時の娘の頭の中を想像した。
授乳の何かだと思ったのかな、ちょっと恥ずかしそうに言っていたのがかわいくてかわいくて。
前から、その言葉は私(とパパ)にしか通じない言葉だとは教えていたのだが、未だにぱーくのことを気恥ずかしく思っているとは。
やはり言葉が体験と本能に染み付いた何かで、咄嗟に反応してしまうのかな。
そういえば、CMで「パークハウス」ってのがあった時も、娘は反応していたような。
くくく。本当に笑ってしまう。
ここに書いたことで、もう3人だけの秘密の言葉ではなくなってしまったが、面白いのでそれもよしとしようか。