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ある朝、幼稚園に向かう前。

自転車にのせる準備をしていたら、通勤の途中であろう、ものすごく派手なおばちゃんが通り過ぎる時、幼稚園の制服を着た4歳に声をかけてきた。

どれくらい派手なおばちゃんかというと、ご近所でちょっとした話題にのぼるくらいインパクトのあるおしゃれをしたおばちゃんなんだ。

髪はもしかしたらウィッグかもしれないが、若い子にも負けないメッシュの入った金髪並のブラウンヘア、お化粧は舞台か!?ってくらい濃い、おそらく二枚くらい付け睫をつけているような感じ。

夏場は赤の編みタイツにショートパンツを穿くような、そんな派手なおばちゃん。

今朝はカラフルな赤、黄色、青、茶のストライプのつぎはぎのしてある革のコートに色落ちしたデニム。

バッチリのお化粧の顔で、娘を見つけて、ニコニコ笑い、一言、

「かわいいね」

と声をかけてくれた。

娘は「知らないおばちゃんにかわいいねって言われちゃった~」と、恥ずかしそうに、私に報告してきた。

そう、良かったね、と返した。

そのおばちゃんにはもっと昔、一年半くらい前にも、娘をかわいいね、と声かけしてくれたことを私は覚えている。

その時の娘は多分とてもおばちゃんの好みの服装だった。全身原色のようなカラフルさ、頭にはクレアーズで買った花の冠をつけてお出かけしていた時。

花の冠におばちゃんは、それいいよ、似合う!かわいい!と通りすがりに。

私は知っている。

どんなに世間一般でいう、きちんとした格好の人だって、子供に舌打ちする人がいることを。

普通に見える人でも邪魔だ!と言ってにらんでくる人がいることを。

おばちゃんはちょっと一見変わり者扱いされるくらいとっても派手だけど、いつもあったかい目で子供を見ていることを。

色んな人がいて、色んな眼差しがあって。

カラフルな服装が好きなことは全身からわかるんだけど、紺と白の制服を着た地味な娘にもかわいいねと、さりげなく声をかけてくれた。

私もおばちゃんだけど、そのおばちゃんみたいにもっともっと年を重ねても、子供にあったかい気持ちでいてあげられる大人でありたい。

平和って、そんな気持ちから生まれるんじゃないかな。

良く晴れて朝の空気はつんとして澄んでいて気持ち良かった。

こんな気持ちがいつまでも続いていますように。おばちゃん、ありがとう。